商標登録のススメ(4)
第4回 商標登録の要件(その一)~識別力~
千葉県の弁理士、金森です。
弁理士は、特許や商標など、知的財産の専門家です。
いつもこのブログをお読みいただき、有難うございます。
いきなりですが、以下の商標については、商標登録を受けることができません。
(1)商品又は役務(サービス)の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
例)商品「電子計算機」について、商標『コンピュータ』
役務「美容」について、商標『美容』など
(2)商品又は役務について慣用されている商標
例)商品「自動車の部品、付属品」について、商標『純正』、『純正部品』
役務「宿泊施設の提供」について、商標『観光ホテル』など
(3)商品の産地、品質など又は役務の提供の場所、提供の方法などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
例)商品「ミネラルウォーター」について、商標『南アルプス』
役務「飲食物の提供」について、商標『東京銀座』など
(4)ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
例)商標『山田』、商標『佐藤商店』など
(5)極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
例)仮名文字の1字、数字、ローマ字1字又は2字など
(6)その他何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標
例)地模様、キャッチフレーズなど
上記の各商標について、商標登録を受けることができない理由は、
商標が、自分の商品やサービスと、他人の商品やサービスとを
区別するために用いられるものであるところ、
上記の各商標は、識別力が認められない、
要するに、自分の商品やサービスと、他人の商品やサービスとを
区別することができない商標だからです。
なお、太字で示したように、「普通に用いられる方法で」
表示する標章「のみ」からなる商標が登録を受けられない
ということなので、
特殊な態様で表示する標章や、
商品の普通名称とロゴなどの図形とを組み合わせた標章など
については、
識別力が認められるため、
原則、商標登録を受けることができるということになります。
また、識別力のない商標は商標登録を受けられないので、
逆に言えば、識別力のない商標については、
原則、自由に使用することができるということになります。
ただ、そのような識別力のない商標を商品等に表示しても、
消費者に対して自分の商品をアピールすることができないでしょう。
一方、造語などは、
通常はそれのみで識別力を発揮するため、
商標登録を受けやすいと思います。
例えば、〇林製薬の商標には、
ユニークな商品名(造語)がズラリ勢ぞろいしていますね(^^♪
『〇スピタン』、
『〇ツサマシート』、
『〇カムケア』など・・・。
商品やサービスのネーミングの際には、
自分の考えたネーミングが識別力を有するかどうかを
チェックされてはいかがでしょうか?